小規模事業者持続化補助金とは?概要をわかりやすく解説!

小規模事業者持続化補助金とは?概要をわかりやすく解説!

この記事では、小規模事業者持続化補助金(通称:持続化補助金)について解説します。

補助金の概要や対象者、申請から補助金交付までの流れ等、詳しく紹介しているので、これから申請を行う予定の方や小規模事業者持続化補助金に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取り組みに対する支援を行っている補助金です。通称で「持続化補助金」と呼ばれています。

2014年からスタートした制度で、補助金制度の中でもメジャーと言えるものです。

最初の頃は販売促進・販路開拓に対する補助のみを行っていましたが、現在では生産性向上の取り組みに対する支援も合わせて行われています。

小規模事業者持続化補助金の対象者

小規模事業者持続化補助金の対象者について解説します。まず、対象とされているのは法人、個人事業、特定非営利活動法人です。

その中でも、定められた全ての要件を満たしている方に限られます。その他の条件についてもご紹介します。

業種と従業員数のルール

対象となる業種は、以下の通りです。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)
  • 宿泊業・娯楽業
  • 製造業その他

それぞれについて、従業員数による条件も設定されています。

【商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)】
常時使用する従業員の数 5人以下
【宿泊業・娯楽業】
常時使用する従業員の数 20人以下
【製造業その他】
常時使用する従業員の数 20人以下

その他のルール

その他に、以下の要件を全て満たしている方が対象者となります。

  1. 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
  2. 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
  3. 持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」の提出を本補助金の申請までに行った者であること
  4. 「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと

 

販路拡大・生産性向上の取り組みとは?【補助対象経費】

小規模事業者持続化補助金の目的は、「持続的な経営に向けた経営計画に基づく、販路開拓等の取組や、その取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助する」ものとされています。

この「販路拡大」「生産性向上」というワードに該当する補助対象経費として、以下の項目が認められています。

  • 機械装置等費:補助事業の遂行に必要な製造装置の購入等
  • 広報費:新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等
  • ウェブサイト関連費:ウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修、開発、運用に係る経費
  • 展示会等出展費:展示会・商談会の出展料等
  • 旅費:販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
  • 開発費:新商品の試作品開発等に伴う経費
  • 資料購入費:補助事業に関連する資料・図書等
  • 雑役務費:補助事業のために臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員費用
  • 借料 機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
  • 設備処分費:新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等
  • 委託・外注費:店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼(契約必須)

小規模事業者持続化補助金の5つの枠・種類

小規模事業者持続化補助金には、5つの類型が用意されています。枠によって対象者や補助金額が異なるので、比較して内容を確認するのがおすすめです。

それぞれについて詳しく解説します。

1.通常枠

通常枠とは、小規模事業者持続化補助金において基本となる類型のことです。

小規模事業者が自ら作成した経営計画に基づいて、商工会・商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等の取り組みを支援する類型となっています。通常枠に対して、それ以外の全ての枠を総称して特別枠と言います。

通常枠は、その他の特別枠と同時に申請することはできません。いずれか一方、1枠のみ申請可能となっています。

今回、初めて小規模事業者持続化補助金の申請を考えている方は、まず通常枠での申請から検討するのがおすすめです。

2.賃金引上げ枠

賃金引上げ枠とは、販路開拓の取り組みに加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者に向けた支援を行う類型です。

なお、すでに事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上を達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+30円以上とする必要がある点に注意してください。

3.卒業枠

卒業枠とは、販路開拓の取り組みに加えて、雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大している小規模事業者に対する支援を行う類型です。

申請要件として、常時使用する従業員の数を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大することが定められています。

なお、卒業枠で採択され事業を実施した事業者は、本補助金の対象外となるので注意しましょう。

4.後継者支援枠

後継者支援枠とは、販路開拓の取り組みに加えて、アトツギ甲子園においてファイナリスト及び準ファイナリストに選ばれた小規模事業者に対する支援を行う類型となっています。

アトツギ甲子園とは、全国各地の中小企業・小規模事業者の後継者が、既存の経営資源を活かした新規事業アイデアを競うピッチイベントです。39歳以下の後継予定者が対象者となっています。

後継ぎの候補者が行う新たな取り組みに対する補助上限額を200万円まで引き上げ、支援を行います。

ただし、既に後継者支援枠で採択され事業を実施した事業者は、後継者支援枠の対象外となる点に注意しましょう。(異なる年度において、要件を満たす場合には補助対象となり得る可能性もあります。)

5.創業枠

創業枠とは、創業した小規模事業者に対する支援を行う類型のことです。

創業した小規模事業者の中でも、産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援」を受けて販路開拓に取り組んでいる方が対象となります。補助上限額を200万円引き上げる支援を行っています。

細かな申請要件として、以下が定められています。

産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ過去3か年の間に開業した事業者であること。

なお、創業枠で採択され事業を実施した事業者は、同一の法人、同一個人の別屋号での再申請が行えない点に注意してください。

【引上げ制度】インボイス特例

ここまでご紹介してきた5つの類型と合わせて、「インボイス特例」という特例が用意されています。

インボイス特例とは、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者に対して、補助上限額を一律50万円上乗せし支援するものです。

適用要件は、以下の通りです。

2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者であること。

ただし、補助事業の終了時点でこの要件を満たさない場合は、特例は適用されません。

なお、通常枠や特別枠で規定されている要件を満たしていない場合、交付決定を受けたとしても、インボイス特例の対象外となるので注意しましょう。

小規模事業者持続化補助金の補助金額・補助率

小規模事業者持続化補助金の補助金額と補助率について、以下の表にまとめました。

類型 補助上限金額 補助率
通常枠 50万円 2/3
賃金引上げ枠 200万円 2/3
※赤字事業者については3/4
卒業枠 2/3
後継者支援枠
創業枠

通常枠かその他の特別枠のいずれか1枠のみ応募できます。補助金額や補助率を比較し、どの枠に応募するか決めましょう。

小規模事業者持続化補助金【申請から入金までの流れ】

ここからは、小規模事業者持続化補助金に申請する際の流れについて、申請から入金まで詳しく解説します。

全体の流れは、以下の通りです。

  1. インプット(募集要項・参考資料の確認)
  2. 必要書類の準備
  3. GBizIDの取得・申請
  4. 申請内容の審査・採択決定
  5. 補助事業の実施
  6. 実績報告書の提出・補助金額の確定
  7. 請求と入金
  8. 事業効果報告書の提出

それぞれの項目について、詳しくチェックしていきましょう。

インプット(募集要項・参考資料の確認)

申請をするにあたり、まず最初に小規模事業者持続化補助金の情報収集を行いましょう。

補助金は、内容が複雑で把握すべき項目も多岐に渡ります。

募集要項や参考資料の内容を最初に確認することで、申請から補助金交付までの全体の流れが分かりやすくなります。以下のような内容について、確認しましょう。

  • 事業概要:補助金の目的や募集要項等
  • 補助金額や補助率受けられる補助金額や、補助対象経費のうち、補助金として交付される金額の割合
  • スケジュール全体の流れ、交付申請期間、補助金が交付される時期等
  • その他要件(賃上げ目標・プロセス数)補助金ごとに設けられている必須要件等

必要書類の準備

小規模事業者持続化補助金の全体像が把握できたら、必要書類の準備を進めます。

小規模事業者持続化補助金の申請書類は非常に数が多く、法人・個人・NPOごとに求められる書類が異なります。

申請枠ごとにそれぞれ提出が必要となる書類もあります。提出すべき書類の詳細は、こちらから確認できます。

参考:小規模事業者持続化補助金<一般型> 第12回公募 応募時提出資料・様式集

公募回ごとに提出書類について発表されているので、ご自身が応募する際の公募回資料も併せて確認してください。

GBizIDの取得・申請

申請に必要な書類が揃ったら、申請手続きを進めます。

小規模事業者持続化補助金の申請は、「jGrants」という電子申請システムから行います。このシステムを利用するために必要な「GBizIDプライム」のアカウント発行を事前に行いましょう。

ただし、このアカウントの発行には、約3週間かかります。

いざ申請を行おうと思った時に、アカウントの発行が完了していなかったら時間をロスしてしまいます。そのため、申請しようと考えている時期より早めにアカウント発行の手続きを完了する必要があります。

アカウントの発行が完了したら、申請の入力項目に従って電子申請を完了しましょう。

申請内容の審査・採択決定

申請が完了したら、補助金事務局で審査が行われます。

採択結果の発表は、申請締め切り日から大体2ヶ月後の場合が多いです。

ただ、公募回ごとに申請件数が異なるため、結果の通知時期は多少のズレが生じると考えておくと良いでしょう。

採択結果は、採択者一覧が補助金事務局ホームページで発表された後に、メールで通知されます。採択された場合には、その後郵送で「交付決定書」が届きます。

補助事業の実施

補助金に無事採択されたら、補助事業を実施します。

補助事業には実施期間が定められており、小規模事業者持続化補助金においては、約7ヶ月程度である場合が多いです。この期間中に事業を実施する必要があるので、注意して確認しましょう。

実績報告書の提出・補助金額の確定

補助事業が終了したら、実績報告書の提出をします。この提出を行わないと、補助金が入金されないので、必ず忘れずに提出しましょう。

補助金額は、実績報告書の内容を確認し、実際に使用した経費等の証明を見て確定されます。状況によって、以下のような書類の提出が求められることもあります。

  • 見積依頼書
  • 見積書
  • 発注書
  • 納品書
  • 請求書
  • 検収書
  • 振込依頼書…など

なお、最初の申請時に希望していた金額が全て入金されるわけではないので、注意してください。

請求と入金

実績報告書の提出が完了したら、確定した補助金額が交付されます。補助金を振り込んでもらう口座の指定をしましょう。

事業効果報告書の提出

補助事業の完了から1年後に、事業効果報告書の提出を文書で行います。

どの枠で採択された事業者も提出が必要ですが、「賃金引上げ枠」「卒業枠」の申請をした事業者については、事業効果と併せて賃上げの状況または雇用の状況についても報告を求められる可能性があります。

その場合、証拠書類として賃金台帳、労働者名簿等の写し等の提出も求められることがあります。