大規模成長投資補助金とは?対象経費や公募期間、審査ポイントを徹底解説

大規模成長投資補助金とは?対象経費や公募期間、審査ポイントを徹底解説

大規模成長投資補助金とは

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金とは

「大規模成長投資補助金」とは、地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資を促進することで、地方における持続的な賃上げを実現することを目的とした補助金です。

令和5年度補正予算で「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」として、補正予算1,000億円と国庫債務負担含めて総額3,000億円が計上されており、2024年度大注目の補助金の1つとなっています。

2024年度の補助金としては、省人化省力化補助金(仮称)が注目を集めていますが、どちらも省力化を目的に掲げています。それぞれのポイントとしては投資額ごとで利用用途を分けて考えると整理しやすいです。

2024年注目の省人化系補助金のポイント

大規模成長投資補助金の対象者・対象要件とは

大規模成長投資補助金の補助対象者、対象要件を詳しく解説していきます。

補助対象者

大規模成長投資補助金の補助対象者は、中小・中堅企業となります。一般的な補助金と同様に大企業は利用することができません。中小・中堅企業の定義としては、常時使用する従業員数が2,000人以下の会社となっています。

一定の要件を満たす場合、中堅・中小企業を中心とした共同申請(コンソーシアム形式)も対象となります。また、みなし大企業や実施する補助事業の内容が農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は補助対象外です。

1次産業(農業や漁業など)の生産自体に関わる取り組みは補助対象外となります。ただし、1次産業を営む事業者であっても、補助対象とする事業内容が2次・3次産業に関する場合は対象となる可能性があります。

補助対象要件

大規模成長投資補助金の補助対象要件は下記となります。

大規模成長投資補助金の補助対象要件
  1. 投資額10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
  2. 補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員1人当たり給与支給総額の伸び率(年平均成長率)が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均成長率以上

持続的な賃上げを実現することが経済産業省の補助金の目的の1つとなっているため、補助金の申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求めます。(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く。事業者名は公表しない。)

 

みなし大企業は対象外

大企業とは常時使用する従業員数が2,000人超の会社等と定義されています。中堅・中小企業であっても、下記のいずれかに該当する場合は、みなし大企業として「大規模成長投資補助金」は補助対象外となります。

  1. 発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上が同一の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
  2. 発行済株式の総数又は出資金額の3分の2以上が複数の大企業(外国法人含む)の所有に属している法人
  3. 大企業(外国法人含む)の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている法人
  4. 発行済株式の総数又は出資金額の総額が①~③に該当する法人の所有に属している法人
  5. ①~③に該当する法人の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている法人

 

会社と個人以外で補助対象となり得る法人

常時使用する従業員数が2,000人以下の下記の法人は補助対象となる可能性があります。自社が補助対象になるのか確認したい場合は、大規模成長投資補助金の事務局に問い合わせて確認するのがおすすめです。

① 企業組合
② 協業組合
③ 事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
④ 商工組合・連合会
⑤ 水産加工業協同組合・連合会
⑥ 技術研究組合
⑦ 商店街振興組合・連合会
⑧ 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
⑨ 酒造組合・連合会・中央会
⑩ 酒販組合・連合会・中央会
⑪ 内航海運組合・連合会
⑫ 法人税法別表第2に該当する者(一般財団法人、一般社団法人、社会福祉法人など)
⑬ 農事組合法人
⑭ 労働者共同組合
⑮ 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人(特定非営利活動法人(NPO法人)等)

大規模成長投資補助金の補助上限額について

大規模成長投資補助金は、投資額10億円以上の工場新設、物流センターの新設、既存拠点への大規模な設備投資などの取り組みを支援する補助金です。そのため、10億円以上投資が要件となっています。

大規模成長投資補助金の補助上限額
  • 投資金額:10億円以上
  • 補助上限額:50億円(下限金額3.3億円)
  • 補助率:1/3(33%)以下

大規模成長投資補助金の補助対象経費について

大規模成長投資補助金の対象経費は、下記5つがメインになります。

  • 建物費(拠点新設・増築等)
  • 機械装置費(器具・備品費含む)
  • ソフトウェア費
  • 外注費
  • 専門家経費

①建物費

専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費が対象となります。

建物の単なる購入や賃貸は対象外。また、生産設備等の導入に必要なものに限り、「土地」は補助対象外。建物と切り離すことのできない付帯設備は原則として建物費に含めるが、「構築物」は補助対象外です。

 

②機械装置費

① 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
② ①と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費

減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が対象であり、「構築物」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に係る経費は補助対象外。機械装置と切り離すことのできない付帯工事は原則として機械装置費に含める。

 

③ソフトウェア費

① 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費
② ①と一体で行う、改良・修繕に要する経費

 

④外注費

補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費は外注費として認められます。ただし、外注費の上限は、1~3の合計経費未満という規定があります。

 

⑤専門家経費

補助事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費も専門家経費として補助対象経費として認められます。
こちらも、外注費と同様に、上限は1~3の合計経費未満という規定があります。

本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費が対象。応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外となります。

大規模成長投資補助金の事業計画・審査ポイント

事業計画書の審査については、下記の5つポイントを中心に評価を行っていきます。

  • 経営力
  • 先進性・成長性
  • 地域への波及効果
  • 大規模投資・費用対効果
  • 実現可能性

中堅・中小企業の賃上げに向けた 省力化等の大規模成長投資補助金の事業計画・審査ポイント

 

審査ポイント①:経営力

経営戦略上の補助事業の位置付けを踏まえ、補助事業を通じて企業自身の持続的な成長につながることが見込まれるか。

  • 長期ビジョン:社会への価値提供の目指す姿等
  • 外部環境・内部環境の認識を踏まえた事業戦略:市場動向、自社の強み・弱み、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の状況等を踏まえて取り組む事業内容(補助事業含む)等
  • 成果目標・経営管理体制:定量的な成果目標とその達成に向けた効率的な体制の構築状況等

審査ポイント②:先進性・成長性

  • 補助事業で取得した設備等により生み出す製品・サービスや生産方式等は、自社の優位性が確保できる差別化された取組か。
  • 補助事業により、労働生産性の抜本的な向上が図られ、当該事業における人手不足の状況が改善される取組か。
  • 補助事業に関連する製品・サービス等の売上高が、当該事業の市場規模の伸びを上回る成長が見込まれるか。

審査ポイント③:地域への波及効果

  • 補助事業により、従業員1人当たり給与支給総額、雇用、取引額の増加等、地域への波及効果が見込まれる取組か。
  • リーダーシップの発揮により、地域企業への波及効果、連携による相乗効果が見込まれるか。(主にコンソーシアム形式の場合を想定)

審査ポイント④:大規模投資・費用対効果

  • 企業規模(収益規模)に応じたリスクをとった大規模成長投資であるか。
  • 補助金額に対して、生み出される付加価値額や売上高・賃金の増加分が相対的に大きな取組か。
  • 従前よりも一段上の成長・賃上げを目指す等、企業の行動変容が示されているか。

審査ポイント⑤:実現可能性

  • 政策目的に合致した取組であり、かつ、補助事業に必要な資金・体制等が十分に確保されているか。
  • 補助事業の事業化に向けた課題設定・解決方法・スケジュールが適正に見込まれており、実現可能性が高いか。
  • 補助事業によって提供される製品・サービスのユーザ、市場及びその規模が明確で、市場ニーズの有無を検証できているか。
  • ※上記は、変更となる場合があります。詳細は、公募開始時に公表する公募要領をご参照ください。

 

プレゼンテーションについて

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金は、投資額も補助金額が大きいため、書類審査だけでなく、申請者(経営者等)によるプレゼンテーションも必要になることが特徴となっています。プレゼンテーションについては詳細が明らかになっていませんが、書類審査が通った方のみ行われる、または、申請を行った方全員が行う形式のどちらかと考えられます。

大規模成長投資補助金のスケジュール

大規模成長投資補助金のスケジュールで現在公開されている情報は下記となります。

  • 2月20日 :概要資料の公表(本資料) 本事業に関する質問の募集開始
  • 3月上旬 :1次公募開始・事務局コールセンター開設
  • 4~5月頃 :1次公募締切
  • 5~6月頃 :審査
  • 6~7月頃 :採択発表(以降順次、交付決定)

また、事業期間としては、交付決定費から3年以内(最長で2026年12月までを予定)となっております。事業期間とは補助事業が採択された後に、実際にその取組みを行うための期間です。

※スケジュールは、現時点での目安であり、今後変更となる場合があります。 最新の情報は、補助金事務局のホームページをご確認ください。

大規模成長投資補助金のよくある質問(Q&A)

「大規模成長投資補助金」の公式サイトに掲載されているよくある質問(Q&A)を抜粋して掲載しております。こちらに載っていない質問に関しては事務局へのお問い合わせ、またはスマート補助金にお問い合わせくださいませ。

スマート補助金では、成長を目指す企業の補助金申請支援を行っています。

2024年度大注目の補助金の1つ「大規模成長投資補助金」の申請支援も行っています。申請を検討されている企業はぜひお気軽にご相談ください。スマート補助金の申請支援経験が豊富なコンサルタントが要件に該当しているか?など、無料相談に対応させていただきます。

Q1. 2次公募の予定はありますか。

A1. 1次公募の終了後に2次公募を行う予定です。採択数や予算の配分は、執行状況に応じて検討します。

 

Q2. 当社は、製造業で、資本金1億円・常時使用する従業員数3,000人であり、中小企業基本法における中小企業者の定義に該 当しますが、補助対象者の要件に該当しますか。

A2. 本事業では、資本金の金額によらず、常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等を補助対象者としているため対象外です。

 

Q3. 同じ事業者が複数回応募することは可能でしょうか。

A3. 同じ公募期間内において、同一の事業者が申請できる事業計画は1件までです。なお、1次公募で不採択となった場合、2次公募に
申請することは可能です。ただし、1次公募で採択され、交付決定を受けた事業者については、2次公募でさらに採択を受けることは
できません。

 

Q4. 補助事業の内容に制限はありますか。

A4. 補助対象とする事業の内容が、農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は対象外となります。ただ し、1次産業を営む事業者であっても、補助対象とする事業の内容が2次・3次産業に関する事業である場合は対象となり得ます。 そのほか、例えば、公序良俗に反する事業や法令に違反する(恐れがあるものを含む)事業などについては、補助対象外となります。 詳細は公募開始時に公表する公募要領に規定します。

 

Q5. 採択される前に着手している事業でも、補助対象になりますか。

A5. 交付決定より前に契約(発注含む)を行った経費については、補助対象外となります。そのため、採択された後であっても、交付決 定前までに契約(発注含む)している経費については、補助対象外となりますのでご注意ください。

 

Q6. 複数の地域で投資を行う場合も対象になりますか。また、対象になる場合、賃上げの要件に適用される基準値はどのように設定 されるのでしょうか。

A6. 補助事業の目的・内容が一体的であれば、投資場所が複数地域になる場合も対象となります。その場合、賃上げ要件については、 事業実施場所ごとの基準値を適用しますので、事業実施場所ごとに賃上げ率を設定していただきます。

 

Q7. 設備投資に当たって、リースを活用することは可能でしょうか。

A7. 機械装置やソフトウェアに限り、リースやレンタルについて、交付決定後に契約したことが確認できるもので、事業期間中に要する経費 については対象とすることが可能です。契約期間が事業実施期間を超える場合、按分等により算出された事業実施期間分の経費が 対象となります。 また、ファイナンス・リース取引に限り、補助事業者がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件として、 リース会社と共同申請をする場合には、機械装置やソフトウェアの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可 能です。この場合、リース会社に対しては投資額・賃上げ要件等の適用は求めません。

 

Q8. 補助金の概算払いは可能ですか。

A8. 原則、補助金は精算払い(補助事業終了後に確定検査を経て支払い)としますが、補助事業終了前でも、個別の支出状況に 応じて補助金を交付するといった柔軟な対応をいたします。

 

Q9. 審査はどのように行われるのでしょうか。

A9. 申請のあった事業計画に基づく1次審査を行い、通過した申請者は、2次審査として経営支援等を行う外部有識者に対するプレゼン 審査(対話形式)を行います。当該審査を通じて、政策目的に沿った優れた提案を行った事業者を採択します。事業計画・審査 のポイントについては、10ページ目をご参照ください。

 

Q10. 賃上げ要件について、補助事業の終了後3年間は、毎事業年度、申請時に掲げた目標以上の賃上げ率を満たしていなければ、 補助金を返還しなければならないのでしょうか。

A10. 補助金の返還対象の有無は、補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員1人当たり給与支給総額の伸び率(年平均 成長率)が、申請時に掲げた賃上げ伸び率の目標以上であるかどうかで確認します。 年平均成長率で確認するため、例えば、賃上げ状況を確認する1・2事業年度目は目標以上の伸び率となっていなくても、3事業 年度目(確認対象となる最終事業年度)の1人当たり給与支給総額と基準年度(補助事業の終了日を含む事業年度)を比 較した年平均成長率が目標以上となっていた場合は返還の対象になりません。 ただし、補助事業終了後の賃上げ状況や事業実施状況(3事業年度分)の確認については、毎事業年度行います。