ものづくり補助金とは?概要をわかりやすく解説!

ものづくり補助金とは?概要をわかりやすく解説!

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者に向けた支援を行う補助金です。

この記事では、ものづくり補助金の概要や補助金額・補助率、必須要件等について詳しく解説しています。これからものづくり補助金の申請を行う予定の方や、内容が気になっている方はぜひ参考にしてください。

 

ものづくり補助金とは?【概要解説】

ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言い、中小企業・小規模事業者等に対する支援を行う補助金です。

現在、中小企業や小規模事業者は、働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等、今後何年にも渡って相次いで発生する制度変更に対応する必要を迫られています。

そのような方に向けて、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善のための設備投資等の支援を行っています。

ものづくり補助金の5つの枠

ものづくり補助金には、5つの枠が用意されています。枠ごとに目的や対象となる経費、補助金額等が異なるため、それぞれ詳しくご紹介します。ご自身が申請する際、どの枠を利用すべきか検討しながらご覧ください。

通常枠

通常枠は、革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援する類型です。

補助対象経費として、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費等が認められています。

中でも、機械装置・システム構築費については、単価50万円(税抜き)以上の設備投資を行うことが要件となっているので、注意しましょう。

通常枠は、ものづくり補助金における基本の類型となるので、どの枠で申請すべきか悩んでいる方はまず通常枠から検討してみるのがおすすめです。

回復型賃上げ・雇用拡大枠

回復型賃上げ・雇用拡大枠は、業況が厳しい事業者が、賃上げ・雇用拡大に取り組むための革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援する類型です。

コロナ禍の影響を受けた事業者向けの特別枠として、10次公募から新たに設けられました。

ただし、対象事業者は前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下である事業者に限られています。

さらに、常時使用する従業員がいること、補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成すること、の計3点が申請要件として設けられています。

通常枠と同じく、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費等が対象経費になります。

この枠の特徴として、通常枠よりも補助率が引き上げられている一方で、目標に到達しなかった場合に交付された補助金の全額返還を求められる点が挙げられます。しっかりと内容を把握した上で申請するのがおすすめです。

デジタル枠

デジタル枠とは、DXに資する革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援する類型です。コロナ禍の影響を受けた事業者向けの特別枠として、10次公募から新たに設けられました。

デジタル枠では、以下の4点が申請要件となっています。

  1. DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
  2. デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善であること
  3. 経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構に対して提出していること
  4. 独立行政法人情報処理推進機構が実施する「SECURITYACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行っていること

通常枠と同じく、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費等が対象経費になります。

通常枠に比べて、補助率が引き上げられている点が特徴的です。

グリーン枠

グリーン枠は、温室効果ガスの排出削減に貢献する取り組みを行うための革新的な製品・サービス開発や、炭素生産性向上を目指して生産プロセス・サービス提供方法の改善を行う際に必要な設備・システム投資等に対する支援を行う類型です。

コロナ禍の影響を受けた事業者向けの特別枠として、10次公募から新たに設けられました。グリーン枠の中でもさらに「エントリー」「スタンダード」「アドバンス」の3種類に分けられています。

グリーン枠では、以下の3点が申請要件となっています。

  1. 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発であること、又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善であること
  2. 3~5年の事業計画期間内に、事業場単位での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること
  3. これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(有る場合はその具体的な取組内容)を示すこと

通常枠に比べて、補助率が引き上げられている一方で、「脱炭素に関わる事業」を行っている事業者しか申請できない点に注意が必要です。

なお、ものづくり補助金のグリーン枠では通常枠での再審査が行われないため、申請する場合は、グリーン枠に特化した事業計画を提出することになります。

グローバル市場開拓枠

グローバル市場開拓枠は、海外事業の拡大等を目的とした設備投資等を支援する類型です。海外での事業拡大を目指している事業者の方におすすめの枠となっています。

補助金の上限額が3,000万円と高額になっている点が魅力です。グローバル市場開拓枠のみ、対象経費として海外旅費が認められています。

また、グローバル市場開拓枠の中でもさらに以下の4つの類型に分けられています。

  1. 海外直接投資類型:グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築する
  2. 海外市場開拓(JAPANブランド)類型:海外顧客に対して、市場を開拓する
  3. インバウンド市場開拓類型:訪日外国人観光客に対して、市場を開拓する
  4. 海外事業者との共同事業類型:外国法人と共同研究、共同事業開発に伴う設備投資を行う

このうち、海外市場開拓(JAPANブランド類型)のみ、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費が対象経費として認められています。

ものづくり補助金の補助金額・補助率

ここでは、ものづくり補助金の補助金額と補助率について、全枠まとめてご紹介します。

以下の表からご確認ください。

枠名 補助金額 補助率
通常枠 750万円~1,250万円 1/2、2/3(小規模・再生事業者)
回復型賃上げ・雇用拡大枠 750万円~1,250万円 2/3
デジタル枠 750万円~1,250万円 2/3
グリーン枠 エントリー:
750万円~1,250万円
スタンダード:
1.000万円~2,000万円
アドバンス:
2,000万円~4,000万円
2/3
グローバル市場開拓枠 3,000万円 1/2、2/3(小規模・再生事業者)

※大幅賃上げに係る補助上限額引上げの特例

補助事業終了後、3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、上記枠の補助上限を100万円~1,000万円、更に上乗せ。(回復型賃上げ・雇用拡大枠などは除く)

枠ごとに、従業員規模に応じてさらに細かい要件が設定されています。詳しくは補助金の公式サイトから確認しましょう。

ものづくり補助金の申請するための条件

ものづくり補助金に申請するためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。ここからは、ものづくり補助金の申請に当たって満たすべき条件について解説します。

事業計画(3~5年)を策定・実施する中小企業であること

申請にあたって、以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定することが必要です。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる。(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる。

上記に加えて、以下に同意の上、事業計画を策定・実行することが必要です。

  • 申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要です。交付後に策定していないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求めます。
  • 財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とします。
  • 再生事業者である場合には、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除します。

補助金額の返還についても詳しく取り決められているので、あらかじめ確認した上で同意しましょう。

付加価値額+3%以上/年を達成すること

ものづくり補助金の必須要件として、付加価値額を向上させることが求められます。

付加価値額とは、利益と同様の意味で用いられ、企業が事業活動を行う中で出した価値を数字として表したものです。営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

具体的には、事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させることが必要です。

給与支給総額+1.5%以上/年を達成すること

ものづくり補助金では、給与の支給総額をアップさせることも必須要件として設けられています。

具体的には、事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させることが必要です。

ただし、被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が、制度改革に先立って任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加で条件クリアと認められます。

事業場内最低賃金地域別最低賃金+30円を達成すること

事業場内最低賃金をアップさせることも、ものづくり補助金の必須要件となっています。

具体的には、事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準にすることが求められます。

現在募集中の「第16次ものづくり補助金」について

ここからは、現在募集中の「第16次ものづくり補助金」について解説します。

応募期間や締切

公募期間は以下の通りです。

第16次
公募開始日 令和5年7月28日(金) 17時
申請開始日 令和5年8月18日(金) 17時
申請締切日 令和5年11月7日(火) 17時

公募は、期間に切れ目なく行われているので、最適なタイミングでの申請がおすすめです。16次公募までに十分な準備・事業期間の確保が難しい方も、次の公募回で応募できるのでご安心ください。

なお、詳細のスケジュールや申請の流れ・申請方法については「ものづくり補助金(16次)のスケジュール・申請手順・必要書類」の記事で紹介しています。

前回からの3つの変更点

14次公募以降の変更点として、以下の3点が挙げられます。

大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例

補助事業終了後、3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対して、補助上限を100万円~1,000万円上乗せする特例が設けられました。「成長と分配の好循環」を一層強力に推し進めることを目的としています。

対象となるのは通常枠、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠です。回復型賃上げ・雇用拡大枠は除外となっている点に注意しましょう。

温室効果ガス排出削減取組に応じた3段階の補助上限金額設定

グリーン枠において、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発や、炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業者を対象として、温室効果ガス排出削減の取り組み段階に応じた3段階の支援類型が創設されました。

高度な取り組みを実施している場合、補助上限額が最大4,000万円にまで拡充されます。

海外展開支援の強化

中小企業が海外市場開拓を行いやすくするために、グローバル市場開拓枠において、補助対象経費に新たにブランディング・プロモーション等に係る経費が追加されました。
海外での展開を検討している方はチェックしましょう。