小規模事業者持続化補助金を個人事業主が申請する手順・条件・必要書類

小規模事業者持続化補助金を個人事業主が申請する手順・条件・必要書類

この記事では、個人事業主が小規模事業者持続化補助金に申請する際の手順や条件について解説しています。

対象要件や補助金額、必要書類などを個人事業主向けにまとめているので、これから申請される方はぜひ参考にしてください。

 

小規模事業者持続化補助金は個人事業主も利用可能?

小規模事業者持続化補助金は、個人事業主も利用できる制度です。 以下の引用をご覧ください。

本補助金の補助対象者は、[……] 日本国内に所在する小規模事業者(個人、又は日本国内に本店を有する法人)等であることとします。

 

引用:小規模事業者持続化補助金<一般型> 第12回公募 公募要領

小規模事業者持続化補助金の公募要領にも「個人」という文言が入っています。 個人事業主の利用も正式に認められているので、安心して補助金の申請を進めてください。

 

持続化補助金の対象となる個人事業主の条件

ただし、小規模事業者持続化補助金の対象となるためには、5つの条件をクリアしている必要があります。

そのうちの1つは、法人のみを対象とした株式保有に関する内容なので、個人事業主としてはそれ以外の4つの条件に該当していることが求められます。 ここでは、4つの条件についてそれぞれ解説します。

 

小規模事業者であること

まず、補助金の正式名称にも入っている「小規模事業者」であることが条件となっています。

小規模事業者持続化補助金における「小規模事業者」とは、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において業種・従業員数で定められている条件を元に判断しています。

以下の表からご確認ください。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下

また、補助対象者の範囲として、以下も定められています。

補助対象となりうる者
補助対象にならない者
○会社および会社に準ずる営利法人
(株式会社、合名会社、合資会社、合同会
社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人(弁護士・税理士等))
○個人事業主(商工業者であること)
○一定の要件を満たした特定非営利活動法人
○医師、歯科医師、助産師
○系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様)
○協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
○一般社団法人、公益社団法人
○一般財団法人、公益財団法人
○医療法人
○宗教法人
○学校法人
○農事組合法人
○社会福祉法人
○申請時点で開業していない創業予定者(例えば、既に税務署に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外)
○任意団体 等

個人事業主であっても補助対象にならない場合もあるので、ご自身の状況と照らし合わせてご確認ください。

 

直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円未満

申告済みで確定している直近過去3年分の「各年」または「各事業年度」の年平均額が15億円を超えていないことが条件となっています。

この条件に該当しているか確認するために、必要があった場合には納税証明書などの提出を求められることがあります。

個人事業主で課税所得が15億円以上となる方は母数が多くないので、基本的には条件をクリアされる方が多いでしょう。

 

「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」の提出を本補助金の申請までに行った者であること

以下の3つの事業において採択を受け、補助事業を実施し、「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」の提出を本補助金の申請までに行ったことがある場合、本補助金の対象外となります。

  1. 小規模事業者持続化補助金<一般型>
  2. 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>
  3. 小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>

ただし、過去に同事業において採択を受けた場合であっても、上記の報告書を提出しておらず、かつ過去に採択された日から本補助金の受付締切日までに60ヶ月以上が経過していると、補助対象になります。

 

卒業枠で採択を受けて、補助事業を実施した事業者ではないこと

既に小規模事業者持続化補助金の卒業枠で採択を受けて、補助事業を実施した事業者は、補助対象外となります。

 

事業内容の条件

小規模事業者持続化補助金に申請するためには、事業者としての条件だけではなく、事業内容に関する条件も満たしている必要があります。

事業内容に関して定められている3つの要件をご紹介します。

 

経営計画に基づいて実施する販路開拓等のための取組であること

補助事業として行う取り組みが、経営計画に基づいて実施する販路開拓などの取り組みであることが条件とされています。

「販路開拓」などの取り組みの例として、中小企業庁が以前行ったアンケートによると、 「対面販売における顧客への説明・コミュニケーションの充実」や「新しい顧客への直接訪問・売り込み」が挙げられています。

さらに具体的には、以下のような取り組みが補助事業として認められます。

  • 新商品を陳列するための棚の購入 ・・・ 【①機械装置等費】
  • 新たな販促用チラシの作成、送付 ・・・ 【②広報費】
  • 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告) ・・・ 【②広報費】
  • 新たな販促品の調達、配布 ・・・ 【②広報費】
  • ネット販売システムの構築 ・・・ 【②広報費】
  • 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加 ・・・ 【③展示会出展費】
  • 新商品の開発 ・・・ 【⑤開発費】
  • 新商品の開発にあたって必要な図書の購入 ・・・ 【⑥資料購入費】
  • 新たな販促用チラシのポスティング ・・・ 【⑦雑役務費】等
  • 国内外での商品PRイベント会場借上 ・・・ 【⑧借料】

 

商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること

補助事業として行うものは、商工会または商工会議所の支援を受けながら行う事業であることが必須要件となっています。

商工会・商工会議所には、「事業支援計画書」という書類を提出する際の書類作成を依頼することになります。この手順については、必要書類に関するパートで後述いたします。

 

該当する事業を行うものではないこと

以下に該当する事業内容のものは、小規模事業者持続化補助金の条件から外れます。

  • 同一内容の事業について、国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業
  • 本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
  • 事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの

 

持続化補助金で個人事業主が受け取れる補助金額

小規模事業者持続化補助金の補助金額と補助率については、以下の表からご確認ください。

類型 補助上限金額 補助率
通常枠 50万円 2/3
賃金引上げ枠 200万円 2/3
※赤字事業者については3/4
卒業枠 2/3
後継者支援枠
創業枠

特に法人・個人での違いはなく、個人事業主だからといって選べない枠もありません。
ただし、枠ごとに定められている申請要件があるので、それぞれ内容を確認してどの枠に応募するか決定するのがおすすめです。

 

個人事業主が持続化補助金に申請する流れと必要書類

ここからは、個人事業主が小規模事業者持続化補助金に申請する際の流れと必要書類について解説します。

申請手順については、法人と個人で変わりありません。
詳しくは、以下の記事で解説しているのでご覧ください。

参考:小規模事業者持続化補助金とは?概要をわかりやすく解説!

個人事業主が提出すべき書類について、一つずつ詳しくご紹介します。
全部で8種類の提出が必要です。応募時の提出資料・洋式集で紹介されている番号でいうと、1~7番、10番の書類を提出することとなります。

 

1.小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(電子申請の場合は不要)

「小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書」は、紙面で提出する場合のみ提出が必要となる書類です。電子申請する場合は不要です。

住所や名称、代表者の氏名、電話番号などの情報を記入し、申請にあたって重要説明事項に同意していることを示す書類となっています。

必要事項を記入するだけなので、この申請書の準備には時間がかからないでしょう。

 

2.経営計画書兼補助事業計画書

「経営計画書兼補助事業計画書」は、提出すべき書類の中で最も重要な書類とも言えるものです。

特に、「企業概要」「顧客ニーズと市場の動向」「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」「経営方針・目標と今後のプラン」の4項目に関しては、自由記述欄に記入します。
そのため、補助金事務局側が応募者の見極めを行う際に重視する内容となっているので、しっかりと内容を精査して書きましょう。

なお、最大8枚程度までに収まる内容で書くように指示があるので注意してください。

 

3.補助事業計画書

「補助事業計画書」とは、実際に補助金交付を受けた際、取り組む予定である事業について記述する書類です。

「補助事業で行う事業名」「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」「業務効率化(生産性向上)の取組内容(任意記入)」「補助事業の効果」について記述し提出しましょう。

具体的な事業の内容と、補助事業の実施に伴う実現可能な効果について、詳しく記述することが重要です。

 

4.事業支援計画書

「小規模事業者持続化補助金<一般型>に係る事業支援計画書」は、商工会・商工会議所が作成・発行する書類です。
そのため、応募する個人事業主の方が自ら準備する必要はありません。

ただし、商工会に「経営計画書兼補助事業計画書」「補助事業計画書」の2種類の写しを提出することが必要です。
これらを元に、商工会が事業支援計画書を作成します。

注意したい点として、事業支援計画書の作成を依頼してから受け取れるまでに約1週間かかる場合があります。
締め切り直前での準備では間に合わない可能性があるので、時間に余裕があるタイミングで商工会への依頼を済ませましょう。

 

5.補助金交付申請書

「小規模事業者持続化補助金交付申請書」は、以下の内容について記載して提出する書類です。

  • 補助事業の開始日および完了予定日
  • 補助事業に関して生ずる収入金に関する事項
  • 消費税の適用に関する事項

用意されたフォーマットに沿って記入し提出しましょう。

 

6.宣誓・同意書 様式

「宣誓・同意書」は用意された様式の内容を確認し、同意する内容に問題がなければ自署で氏名を記入し提出しましょう。

 

7.1〜7の電子媒体

送付で申請を行う場合、上記で紹介してきた1~7の書類の電子媒体を提出します。
必要事項を記入したデータが保存されているCD-RやUSBメモリなどの電子媒体を提出しましょう。

電子媒体の送付がない場合、採択審査が行えなくなってしまうので注意してください。

 

10.直近の確定申告書

個人事業主は、直近の確定申告書の写しを提出します。

第一表及び第二表及び収支内訳書1・2面、または所得税青色申告決算書1~4面(税務署受付印のあるもの)、または開業届(税務署受付印のあるもの)を提出しましょう。